2010年08月02日

忘れられない味

 『月の木』…

 この名前は、ぼくにとって忘れられないものとなるでしょう。

 あの日から、一月以上が経つというのに、どれだけの衝撃を受けたのか、あれから何度思い浮かべたのか…

 そこは、何から何まで、ぼくの理想を描いたようなお鮨屋さんでした。

 威勢の良い声が飛び交う訳ではありません。ご主人の醸し出す、静かで穏やかな空間。

 それでいて、芯が通っているので、ぬるく感じることがない。

 こんなお店は、初めてでした。


 ワサビを下ろす姿勢から、包丁の置き方に至るまで、なんと神経が通ったことだろう。
大将の一挙手一投足に目を奪われ、味の虜になってしまうのは、ぼくにとって、仕方のないことなのでしょう。(笑)

 供される一つ一つの料理に、どれ程の手間暇を費やして、あの完成度を維持しているというのか、それは、同じ(と云うのも、出すぎたことですが)職人だからこそ分かる。

 ※すみません。画像はありません。あまりの料理の素晴らしさに写真を撮り忘れてしまいました。(笑)

 タコの桜煮から幕を開けた月の木ステージですが、何もかもが美味しい!特に、鰯が絶品!!あの〆方は、ものすごく勉強になりました。(実は、あの〆方を真似た鰯の画像をアップするつもりで、ずっと待ってたのですが、出来ずに泣く泣く文章だけにしました~ 笑)

 海老が入った自家製玉子焼きが食べれなかったのは残念ですが、最後の干瓢巻も最高でした。あの手間の掛かる炊き方をする人を、ぼくは、二人しか見たことがありません。

 でも、一番びっくりしたのは、お会計の時かもしれないですね。
『先に述べておきますが、↓の文章は、ご主人の肩を持つつもりで書いた訳ではありません。判断は、お店がするもので無く、常に、お客さんがするものだと、ぼくは、思っています。』

 実は、月の木さんを訪ねる際に、事前情報を入れておこうとパソコンで調べたことがあるのですが、あの鮨を食べて反応が鈍い方の意見も、もっともだなと感じました。

 どちらかと云うと、あの仕事のやり方は、玄人好みではないだろうかと。
一見すると原価があまり掛かってないように思われがちな魚もあります(でも、実際は、高い)が、その素材を、より高めようと見え隠れする他の材料の惜しみない事!それを加味した場合どうなのか?
 
 ぼく個人としての意見は、お鮨屋さんに入って「安!」と叫んだのは初めてです。(笑)

 料理人としてでは無く、一経営者の視点で進言したことは「これだと採算がとれないでしょう?」でしたが、「(苦笑しつつ)そうですね。でも、お客さんに喜んで頂けたら嬉しい」と仰った大将のことが、とても好きになった…

 行きたいお店が、また一つ増えた。

 
 pepeさん、黄昏呑兵衛さんへ。

 先日は、ありがとうございました。(感謝)
お二人の仰ったことは決して、嘘ではありませんでした。確かに、ぼくの中に衝撃が走りました!良い勉強になりました!!

 ホントありがとうございます。機会があれば、またご一緒して下さい。(礼)





忘れられない味



 え~と…、

 何も画像が無いのは、寂しいというので、もう一つ。(笑)

 今からの研究次第では、「なるみ」の夏のメニューの顔になるやも!?と期待をする本日の一貫。

 『赤えび(深海えび)の握り』です。

 取り敢えず、今のところは、7月限定。(あっ…もう終わってる。汗)

 甘えびが美味しいんやから!赤えびが不味かろうはずが無い!!という単純な発想で生まれたこのお鮨。

 父や母の感想では、「これは!?」格が違う旨さだとか!!笑(注 ぼくは食べれないので分かりません。)塩気のきいた家のシャリには、抜群の相性。


 味も然ることながら、特筆すべきは、その地域性!

 まず、水揚げされるところ自体が、広い佐伯でも限定される海老であるということ。市場に出回ることが無い(出回る時には、鮨にするのは難しいであろう)ものであるということ。

 浜に上がるのが午後からなので(←ここ重要です!笑 だから、スーパー等で扱わないのです)一番適した時にお客さんに提供出来るということ。

 この赤えびの握りは、寿司どころを謳う佐伯の中で、これからの蒲江のウリになるかもと期待する一つです。
 
 上の握りは、「甘エビみたいに尻尾を残して、二尾付けにしてみては?」という案を押し退けて(笑)「尻尾は、取ってくれん?やってみたい鮨があるんや」と握ったものです。

 サイズによりけりですが、七尾から八尾載せてます。自分のイメージの中では、この方が旨いと思うのだが…

 
忘れられない味


 ホントのホントにご当地もののこの一貫、如何でしょうか?

忘れられない味











 以下の文章は、一人の子の為に書きます。多分に個人的見解が混じるので、ご不快に感じる方はスルーしてして頂けると幸いです。思われても、その方以外のコメントは受け付けません。ご了承下さい。
忘れられない味



 『Tくんへ』

 あなたが、この文章を読んでくれているのか、ぼくには、分かりませんが、君に伝えたくて書きます。

 
 Tくんが、大将とぼくの前に現れてくれたことが、ホント嬉しいです。

 ぼくを含めた周りのみんなには、○年の君の人生を想像することしか出来ません。

 あなたの言いたいこと、伝えたいことは自分で言葉にするしかありません。

 その術を大将やみんなが教えてくれるでしょう。その聞く耳を持つのか否かは、あなた次第です。

 ぼくは、君に与えられるものを持っていないので、あまり大きくは言えないけれど、

 「真面目であること、ひた向きであること。それは、一つの才能です。」今の君を持ったまま成長していければ、ぼくなんて直ぐ越えていくと本気で思っています。そうあって欲しい。みんな、そう思っています。

 どんな日々を過ごしても、遅かれ早かれ、男は何時か一人で立たないといけない時期がきます。それが君の年齢では早いことなのかもしれませんが、君にとっては『今がその時』なのだと思います。こうやって出会えたことも何かの縁あってのことやと。

 遊びも知らない。仕事しかしたことが無い、つまらないぼくやけど、
「男にとって、本当に必要なものは、守りたいものを守りたいと思う気持ちと、守る為の力と、
他のどんなものを手放そうとも、守らなきゃならないものを守れた奴が一番強いんだということだけ」だと、ただそれだけなんだと、ぼくは、君よりも少し長い人生の中で学びました。

 それは、学校では、教えてくれないことです。教科書にも、載ってないことです。

 その為の力を、一緒に身に付けよう。

 鳴海定臣

 

 追伸。 
 
 問題です。上の握りが何か分かるかな?


Posted by サダオミ at 09:00│Comments(17)
この記事へのコメント
おはよう!
やっと書けたね。
うれしいよ!今博多に行く途中なんで、帰ってまたゆっくり書きます。
Posted by pepe at 2010年08月02日 09:15
月の木で味わう時間。
 言葉では言い尽くせぬほどの濃密な時間ですもんね。

 その感動が行くたびに新鮮に感じるのですから、素晴らしいとしか言いようがありません。

 確かに、一般の方誰も彼もにお勧めできるお店ではないと思います。

 月の木の時間を愉しむ気持ちがあるか無いか。

 趣味の世界の中でも料理は特に好みが分かれる分野でもあるから
 そうした趣味性の強い店ほど個性があって魅力的だと思うのですが
 それが万人受けするとは限らないのも現実です。


サダオミ君が感動されたように、
 大将の鮨に対する真摯な姿勢と基本に忠実な丁寧な仕事。

 そんな職人としての素晴らしさを目の前で見せていただけるだけでも
 同じ食を作るものとして価値ある時間だと思ってます。


僕もそう度々行けるお店ではありませんが、年内にもう一度行ければと思ってます。

お勘定は、他と比べるわけではありませんが、確かに安いですね。(笑)
 基本料金の設定がきちんとされてるのと、お酒も手頃な品ぞろえなのが嬉しいです。
 お酒の選定も、特別なものじゃなくても味わいのある銘柄を選んでるあたり、
 大将のセンスの良さと実直な姿勢を感じます。
 (僕のような呑兵衛だと呑み代の方が高くなることが多いですから・・・)


そして、深海海老の握り。

僕の記事にも書いてますが、鮮度の落ちやすい海老ですから扱いに気を遣いますね。

うちの家でも漁師さんから分けていただいて、即処理しますが
 頭と尻尾を取りながら、ちゅるんっと生で食べるのが楽しみなんです。

 コレで鮨を握ったら最高だろうなぁ~と思いはしましたが、
 こうして実際に握られてるのを見ると、感動するとともに是非食べてみたいです。
 (来年握った時は声かけてください!自転車恋で駆けつけます!)

 僕が生で食べる時は、ストローみたいに殻越しにちゅるんっと吸って身だけだべますが
 あの小さな海老の殻を取るのって、とても手間のかかる仕事ですよね。

 その辺の仕事振りもさすがだと感服しました。


さて、上の握り。
 白子じゃないかと思うのですが、時期的にイサキでしょうか?
 (全く思い付きで恐縮ですが・・・)
Posted by 黄昏呑兵衛(けんちゃん)黄昏呑兵衛(けんちゃん) at 2010年08月02日 10:17
うまく言葉にできませんが、なんかジーーンってきちゃったです。



今、現実の世界に戻ってきたのに、もう大分が恋しくなりました。
Posted by ecoecoecoeco at 2010年08月02日 22:48
ん、サダオミさんが すごく楽しそうに記事を書いている姿が思い浮かびます。記事については コメント出来ませんが、サダオミが感動したことが、伝わり わたしも嬉しくなったよ。がんばれよ。
Posted by かぜびと nao at 2010年08月02日 23:45
  pepeさん、夜分です。(ニコニコ)

 返事遅くなってごめんなさい。(ペコリ)

 
 一ヶ月ぶりです。(笑)
あいにくとイワシの画像は、用意できませんでしたが、ありのままを書いたつもりです。

 どうでしたでしょうか?

 コメントお待ちしています!!
Posted by サダオミサダオミ at 2010年08月04日 01:45
  黄昏呑兵衛(けんちゃん)さん、夜分です。(ニコニコ)

 すみません。返事遅くなりました。(ペコリ)

 
  黄昏呑兵衛さんの「君のこれからの為にも、月の木さんは、一度行くべきお店だと思うよ…」と云われた言葉。

 まさに、その通りでした。

 大分で、あのような形態の営業をしているお店があったとは…

 見るもの、聞くもの、食すもの、全てが勉強になりました!!ありがとうございます!!

 また、ご一緒して下さい。

 
 そして、深海えび。 黄昏呑兵衛さんは、きっと、この鮨に反応して下さるだろ~なぁと思ってました!!(笑)

 あのえびの味を知ってる方は、この鮨を、ホントに蒲江を売り出す一つになる可能性を持っていると考えるのではないでしょうか?

 色々アドバイスして頂くことがあると思います。これからも宜しく御願いします。(礼)

 後…正解です。(笑)流石ですね!!
今はもう、サイズが小さくなってるように思いますが、この鮨も結構イケますよ!
 上に載ってるあんは、ポン酢に葛を合わせたものです。これは、茹でて握っていますが、個人的には、生の方が美味しいように思います。

 
Posted by サダオミサダオミ at 2010年08月04日 02:03
 ecoecoさん、夜分です。(ニコニコ)

 返事遅くなってごめんなさい。

 コメントありがとうございます。(ペコリ)
 

 ぼくもecoecoさんのブログを読む度に、大阪が恋しくなります。(ホントに)

 そして、ステキな言葉をありがとうございます。
Posted by サダオミサダオミ at 2010年08月04日 02:25
 かぜびとnaoさん、夜分です。(ニコニコ)

 返事遅くなりました。ごめんなさい。(ペコリ)

 
 お久しぶりです。毎日暑いですが、お元気でしょうか?

 『月の木』…かぜびとnaoさんとも一緒に行ってみたいお店です!!

 も~凄かったですよ!!(笑)何から何まで!!ぼくの理想がここにある!!と思いましたから!!
 ワイワイした感じは、ありませんが、きっとかぜびとnaoさんも気に入ってくださると思います。

 是非とも一度!!

 コメントありがとうございます!!
Posted by サダオミサダオミ at 2010年08月04日 02:33
記事になりましたね。

やっぱり、月の木行きたいです。
というより、行く段取りをします。

赤えびの握り
不味かろうはずがない。

ただ
シャリとネタのバランスがどうなのか
味わってみたいと思います。

元気でいれば、また来年という事で。
Posted by もんじゅ at 2010年08月05日 05:12
こんばんは。
先日さかなLOVEの娘たちとお世話になりました。
お礼のはがき、届きましたでしょうか。
(娘の字、読めましたか?・笑)

赤海老のおすしも、
白子のお寿司も私たちご相伴に預かれたわけで、
またあの幸せな食卓がよみがえりました。

個人的な話で恐縮ですが、
私の父も日本料理の調理師です。
(サダオミさんは“料理人”ってほうが似合う感じ!)

かつ、海の幸が豊富なところで育ったので、
すこ~しばかりは、食に対する意識が強いかもしれません。

父から仕事のことはそう多く聞いていませんが、
料理やホスピタリティにまつわるいろいろを
肌で感じて育った私としては、
このブログを読んで、
そしてお会いしたときの印象を思い出して、
うまくいえないけど
とても嬉しく感じています。

実年齢の若さなんて、関係ない。
自分の仕事への姿勢、
とてもとても尊敬できるなぁって思いました。


私は全くの異業種(医療と福祉)で働いていますが
なるみを訪れた次の日から、
当たり前に見えることにも、心をこめて向き合おう、
そう思って仕事に当たってます。

またおじゃまできるの楽しみにしてます!
Posted by puni at 2010年08月05日 22:42
 もんじゅさん、今晩は。(ニコニコ)

 遅くなってすみません。そして、先日は、ありがとうございます!めっちゃ参考になります!!


 やっと、文字にすることが出来ました~。(笑)言い足りない部分もありますが、後は、実際に足を運ばれた方の、ご想像に任せるべきだと思いました。

 『月の木』さん!是非オススメします。きっと、もんじゅさんもお気に入りのお店になると思います。

 赤えびの握りも、もんじゅさんに食べて頂きたいですね!!出張で握れないかな…?
Posted by サダオミサダオミ at 2010年08月07日 21:25
 puniさん、今晩は。(ニコニコ)

 返事遅くなって、すみません。(ペコリ)

 ステキなハガキをありがとうございます!!微笑ましい写真に思わず、ほんわりと暖かくなりました!!(感謝 字、読めましたよ~ 笑)

 とても丁寧な文章と気持ちに、ただ感謝の言葉しかありません。

 ぼくは、ホントのホントに大したことのない人間です。でも、皆さんが笑ってくれるのが嬉しいから、この仕事を続けていたいと思ってるのかもしれません。

 どのような方向へ、なるみが変わったとしても、精一杯の気持ちを込めておもてなしをしたいという思いは、忘れないでいたいです。

 コメントありがとうございます!!(礼)

 末永く宜しく御願いします!!
Posted by サダオミサダオミ at 2010年08月07日 21:58
うんうん(^-^)
pepeさんのブログによく出てくるところですね
サダオミさんの記事によだれ出てます(*_*)チョット嘘ですが
ここ行ってみたくなりました〜\^o^/
ちなみに同じビルの美容室(同じくブロガーさん)に行ってるんで場所は確認済み(O_O)
私はまたなるみに行きたいな〜
Posted by ななんこ at 2010年08月12日 13:57
それから
寿司と鮨はどう違うの?
同じ?
ハハ(^O^)私のコメントったらこの程度で…
Posted by ななんこ at 2010年08月12日 14:07
 ななんこさん、こんにちは!!(ニコニコ)

 そうです!そうです!!pepeさんがオススメするお店の一つです。

 この時は、三人で『月の木』さんにおじゃましました。

 店内もキレイだし、ビルも新しいのではないかな?同じビルにブロガーさんがいたとは!?ビックリ!!ですが(笑)、サダオミも、是非オススメのお店です。

 そして、寿司と鮨の違いですが…

 これを疑問に感じる方は、見てるところがスゴイ!と思います。ぼくは、ななんこさんを含め、数人の方達しか聞かれたことがありません。

 実は、何かの機会にでも、このことについて記事にしてみようかな~とも思っていました。

 語りだすと、長くなりそうなので(笑)サラッとだけで(笑)

 実は、すしと云う字には、もう一つ『鮓』という漢字もあります。

 『寿司』、『鮨』、『鮓』。諸説あるそうですが、寿を司ると書くように、祝い事に用いられるのが寿司で、鮓は、米を発酵させて作った熟れすしから。
 鮨は、現代のようにすぐ食べられるように、シャリに魚を載せた形、魚を旨くする(冷蔵技術が乏しかった時代は、醤油に漬けたりとか、酢で〆たり)という意味合いから鮨という字をあてたとか。

 一手間を掛ける(仕事をする)ということを謳う、江戸前などは、よくこの鮨だったりしますね。

 とか。他には…(また、次回ということで 笑)

 相変わらず、ななんこさんのコメントは、鋭いというのかステキというのか、ドキッとさせられます~(ニコリ)
Posted by サダオミサダオミ at 2010年08月12日 15:29
は〜(@_@)
勉強になりました〜
なんだか得した気分☆
Posted by ななんこ at 2010年08月13日 20:09
ななんこさん!お夜分です!!(ニコニコ)

 いいえ~。もっと、まにあっく(笑)なことは次回にでも~。

 いつもコメントありがとうございます。(礼)
Posted by サダオミサダオミ at 2010年08月16日 00:46
 
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