2010年09月24日

定臣の一品(伊勢海老祭番外編)

 ぼくは、板場の世界に入って、二週間目に甲殻類アレルギーになった。

 海老やカニの料理が出来ないということが、どれ程、致命的なことなのか、ぼくには、分かっていたから(日本人は、世界で一番、海老好きな人種であるといわれています。世界中で漁獲される90%のエビは日本に渡ってくるとも)、あの時は、『止めるしかない』ということ以外考えられなかったな…



 「料理は、海老だけじゃないぞ。海老に代わる何かを、見付ければ良いじゃないか…」と云ってくれた大将の言葉があって、今も、ぼくは、この世界に居るのだと、この頃フッと思い出します。

 伊勢海老に代わるものを求めたのが、「鱧」であったり「河豚」であったりする(この理由もあって、修行先に大阪を選んだ)のですが、今日は、その中の「鳴海定臣」としての一品です。

 
定臣の一品(伊勢海老祭番外編)


 『〆サンマ(炙ってます)のお造り』です。

 手前のは、サンマの肝や腸などを、醤油とミリンと少しの塩で調味したものです。

 醤油の代わりに、これを載せて召し上がってみて下さいと伝えました。

 
 内臓まで美味しいと云われるサンマですが、この魚は、漁獲された時にウロコを大量に飲み込んでしまうので、そのまま食したのでは、口に触ります。



 ですから、ウロコを一つずつ箸で取り除きました…



 バカな奴だと思います。こんなことに、時間を費やす奴もぼくぐらいのものでしょうし…(苦笑)

 本来、捨てる箇所を使用して、お客さんにお金を頂こうと思う腹黒い男でもあります。

 
 「これが、伊勢海老の代わりを成すものなのか?」と問われたとしても「分かりません」と答えるしかありません。「お出しした物が、ぼくの全てです」と言います。

定臣の一品(伊勢海老祭番外編)


 初めて、この料理をお出ししたお客さんも、ぼくと同じように「海老アレルギー」の方でした。

 伊勢海老のような、豪華さも贅沢さも持ち合せていない料理です。

 …料理と云ってもいいものか…。(苦笑)原価も、殆ど掛かっていません…

 

 召し上がって下さった方の笑顔と、「ちょっとコレ!食べてみて!」と他の方にも箸を勧める姿が、とても嬉しかった。

 「今年度、上半期イチの酒肴」だとまで仰ってくれたのは、確かに嬉しいのだが…

 さすがに、それは、言いすぎであろう。(笑)


Posted by サダオミ at 00:16│Comments(10)
この記事へのコメント
お早う!
昨日博多の「やま庄」の大将と「月の木」に行ったんだよ。
一粒一粒筋子からとって丁寧に漬けたイクラが良かったよ。
サンマのうろこ付きが「やま庄」に入ったらすぐ連絡しますって。
ところで、サダオミ君のサンマの腸、絶対食べてみたいね!
Posted by pepe at 2010年09月24日 06:38
pepeさん!お早うございます!!(ニコニコ)
 
 「月の木」さんのイクラ!?それは、ぼくも、食べてみたいです!!

 いつ頃まで、あるのでしょう…気になります…

 
 実は、この腸のヤツは、大阪でお世話になった人がやっていたのを、お手本にして改良したものです。

 この味の決め手になっている、少量の塩は、pepeさんに頂いた「フルール・ド・セル」を使用しています。

 コメントありがとうございます。(礼)
Posted by サダオミサダオミ at 2010年09月24日 08:22
安価な食材でも
手間をかけ、思いを込めれば立派な逸品になると思います。

さんまの炙り
見た事も聞いた事もないけど、食べてみたい。

ごくありふれた食材に手をかけて
食べる人に再認識して貰う。

その食材を好きになって貰う。

それも料理人としてのあり方ではないかと思いますよ。
Posted by もんじゅ at 2010年09月25日 01:05
こんにちは。。。(ニコニコ)
なるみ営業部長です。。。(笑)
最近、この(ニコニコ)が気に入っています。。。(笑)

飲み込んだウロコを丁寧に一つずつ箸で取り除く事に、ここにいるみんなが驚いています。
料理って本当に奥が深いと痛感しました。
甲殻類アレルギーやったんですね。
写真を見ているだけで、生ツバ、ゴックンです。
朝から飲みたくなりました。
使う食材の事を熟知しているからこそ成せる技。
信じ難い事に、最近食材の本質を知らない料理人がいるのです。
本当に情けなくなります。

お互い専門職。
死ぬまで勉強ですなー。。。(ニコニコ)
Posted by サーロインT at 2010年09月25日 09:08
 もんじゅさん、今晩は。(ニコニコ)

 コメントありがとうございます。

 そう言っていただけて、とても嬉しいです。

 
 「小魚を扱える職人になりなさい。」と、亡くなられた師匠にも、教えられたことがあります。あの言葉が、今の自分を作っていると思います。

 少しでも、その食材の味を伝えることが出来たら、料理人として最高ですね。

 そんな、職人になりたいです。
Posted by サダオミサダオミ at 2010年09月25日 23:10
 なるみ営業部長(笑)サーロインTさん、今晩は。(ニコニコ)

 水揚げされたばかりの鮮度の良いサンマの肝は、生で食せるらしく、もの凄く美味しいそうです。

 
 今年は、例年に比べ、サンマの値段が上がっていますが、それでも、伊勢海老に比べれば、何分の一の値段です。

 そう考えれば、ウロコを取る作業くらい、なんでもないことなのかもしれません。
 ぼくがしなければならないのは、「伊勢海老」と、遜色ないものまで、サンマの味を引き出すよう努力することだと思います。

 学ばなければならないことは、まだまだ…ありすぎます。(笑)

 ぼくがTさんに言うのも、おこがましいことですが、「お互い、自分の道を頑張って歩んでいきましょう!!」

 コメントありがとうございます。
Posted by サダオミサダオミ at 2010年09月25日 23:40
こんばんは。

さんまの腸を・・・。うろこを・・・びっくりです。

サンマってうろこ飲み込むの~? 
じゃあ、焼いた時そのまま食べるときにウロコは・・・あれ?
って考えてしまいました。
(うろこ付いてるのは、一本釣りしたやつだけですか?)

料理は奥が深いですね。
甲殻アレルギー・・・。それはお辛かったでしょうね。
手間をかける・・・。
私、仕事の材料にキチンと手をかけているかなぁ・・・。
サーロインTさんの言葉にも、ちょっと胸を打たれました。

頑張っている人を見ると、勇気と元気をもらえます。
自分も頑張らなきゃです。ありがとうございます。
Posted by asuasu at 2010年09月27日 00:49
昨日はありがとうございました。

サンマの炙り…脂がのっているサンマの脂が溶けて、味が一段と美味しいだろうなぁ~。
腸の中のウロコをひとつひとつ?すごい!
そんな細かい仕事をして提供されるものは絶対に美味しいでしょうね。
内蔵系は苦手だけど、一度味わってみたいものです。
Posted by あんこ at 2010年09月27日 06:49
asuさん、夜分です。(ニコニコ)

 一本釣りされたサンマは、別として、殆どの場合、食卓に上るサンマにウロコは、付いていないですね。

 付いているとしても、お腹のところの剥がれ難い部分だけだと思います。(ぼくの経験から)

 サンマがウロコを飲み込んでしまうのは、漁のやり方上、どうしようも無いことなので、後の処理をどうするかは、完全に、ぼくら次第となります。

 
 アレルギーの問題は、どうすることも出来ないらしいので(笑)、なるみを続けていく時に、どうしてもそれが必要なら、海老料理が好きな人を嫁さんにもらうしかないですね。(笑)

 海老料理が出来ないことは、確かに料理人にとって、欠陥かもしれませんが、今は、逆に食べれなくなったことで、同じ思いをされる方の気持ちを理解することが出来たので、かえって良かったかな~なんて思ったりしてます。(笑)

 あんまり悲観視するのもどうかと思ってますし(笑)、「前を向いてれば、対処法は見つかるさ~」なんて楽観視してる部分もあるぐらいです。(笑)

 他の方の見方がどうあれ、今のぼくは、こんな感じです。

 コメントありがとうございます。(ペコリ) 
Posted by サダオミサダオミ at 2010年09月28日 03:02
 あんこさん、夜分です。(ニコニコ)

 マグロのメンチカツ、ありがとうございます。(笑)

 
 …いや

 …知ってましたよ

 …ホントですよ…(笑 あんまり美味しいもんで、マグロやと思わなかったんです!笑)

 美味しいかどうかは、分かりませんが(笑)、サンマは、やはり人気がありますね!!

 食事の終わりに、お客さんに挨拶とお礼に出るのですが、一番高評価なのは、サンマやったりします。(笑)

 まあ、伊勢海老もあってこその評価であるとは、分かってるので、こらからどういう風に広げていくのかは、ぼく次第ですね。

 ウロコを一つ取る度に「美味しいって、喜んでくれるかな~。喜んでくれたら良いなあ~。」と、一人ニヤニヤしながら、自分の世界に浸っています。かなり可笑しいヤツです。ハイ。(笑)

 あんこさん!また、どこかでお会いしましょう~。
Posted by サダオミサダオミ at 2010年09月28日 03:17
 
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